続々 東方はもはや同人ではない (種明かし編)

前回の続き


というわけで 一回目は東方ってもはや同人じゃないではないか? で
次に今はお金の掛からない表現方法があるのではないか? と続いてきました。
まずはじめにとても意地悪な問いかけをした事をお詫びいたします。


ここで今一度 もはや同人ではないのではないかに立ち返り、種明かしと続きを始めます。
そもそも現代の同人のやり方では商業主義なしに同人が立ちゆきません。
たとえば印刷屋との折衝もしかりですし、販売委託もそうですね。
特に販売委託の場合、市場原理が働きますからその段階で「自分のやりたいものをやる」という
同人がすぐに行き詰まるのは自明の理です。
自分の好き放題に公序良俗に反する内容や、面白くない内容はすぐに撥ねられます。
人気の出ない同人は在庫の山です。 


販路拡大も大きな問題です。
特に東方同人についてはとうとうアマゾン(IOSYSさんとか)でも
ニコニコ市場(ホワキャン経由ですが)で買えるようになっていますね。
本来イベント会場での交流や交換を目的とした同人が
完全に販売のためのシステム「市場」と化しているわけですね。
売り手と買い手が残念ながら同じ立場でない理由も
買えないリスクが買い手にあるなんてもはや幻想なのです。
今じゃ沢山の販路から本を買うことができる。どうしても欲しいのならオークションだってある。
これでもまだ 東方って同人だって言えるのでしょうか。


と、ここまで書いたところで、案の定「俺たちはアマチュアだ」って反応が返ってきたわけですね。
じゃあアマチュアなら市場原理が働かないやり方に回帰するしかないってことにならないかが
前回のエントリ。 市場原理や商業主義から完全に分断されたコンテンツを提供する手段はありますよと。
すると、やっぱり制作費を回収したい、東方同人は儲からないって反応が返ってきます。
当然ですよね。 だけど儲けという言葉には否定的になるんです。
それを認めてしまうと、自分が叩かれてしまうから。
だからあそこで憤った方申し訳ないです。 あなた方の反応は至極当然であり正しいわけです。


だけどね、ここで一つ考えて欲しいのですが
お金儲けって駄目ですか? ってことなのです。
お金を儲けるためにはとてつもない努力と工夫とそして投資が必要だって言ったのは
皆様がたですよね。
音屋さんは東方の音楽を一生懸命耳コピして、そこに色々な音色を置いていますよね。
楽器だってそう。 必要経費を折半しろって言ったって無理ですよ。 下手すりゃ何百万の投資を
しているんですよ。彼らは。
絵描きさんは沢山のレイヤーを作って、気の遠くなるような彩色作業をしていますよ。
彼らがお金の形で対価を求めたくなるのは当然ですよ。
最初は皆に褒められるだけで満足していたかも知れない。でもそれだけでは満足できなくなってきたから
イベントに参加したりしているわけですよね。 ちがいますか?


皆様に認識していただきたいのは
いくらアマチュアリズムだと言ってももはや同人の世界に市場原理は働き
お金儲けをいくら否定しても、現実はそうではないという事実なのです。
そうなるとね、お金を儲けているから音楽をやっている人を叩くなんて漫画至上主義もナンセンスだし
逆に東方だから儲けちゃ駄目だと言ったって無駄なのです。
だって低コストのやり方をいくら提案したところで、あなた方の理論では
表現の幅が狭まるというわけでしょう。 
一定冊数以下ならディスクで頒布するとか、製本作業を最初から自分でやるとか、紙の質を下げるとかは
全部商業主義的発想だから駄目だというのでしょう。
なら高コスト体質のまま突き進むしかないでしょう。
お金が掛かるから儲けられる時に儲けないと立ちゆかないじゃないですか。


だからイベントに参加している参加者の方をないがしろにするのは避けないといけないのではないかと。
批判する人はお客様感覚だから無視して構わないと。
彼らは同様に参加者じゃないですか。 彼らを切り捨てていたりしたら市場原理なんか
すぐに崩壊しますよ。 ルール違反をした人は参加者じゃないでしょ。
発覚したらイベントが崩壊するから、崩壊するようだったらその程度のイベントですよ。


結論
お金儲けって側面を否定しちゃいけない。
同人であっても規模が大きくなれば、市場原理が働く。
そうなったら自分の好きなようにやりたいと思ってももはや通用しない。
サポートしかり。


というわけで「東方は同人ではない」はとりあえず完結です。
ご清聴有り難うございました。